【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─上昇街道ひた走る増配銘柄に狙いを定める!

「上昇街道ひた走る増配銘柄に狙いを定める!」
●混乱、騒乱取り巻くなかで東京市場は……
なんとも意外な展開になっている。東京市場の直近の動きのことだ。
カナダで開催されたG7サミットでは、トランプ米大統領が早々と帰国してしまい、共同宣言も出せなかったことはご存じの通りだ。しかし、これはまあ、いいだろう。東京市場への影響はほとんどなかった。こう見てよいからだ。ところが、G7サミットでは日米首脳会談も行われ、関税協議で合意もあり得る。いや、まず間違いなく首脳同士が笑顔で握手する。会談前にはこんなイメージさえ描けるほどだった。ところが、合意は先送りとなった。結局、協議継続となり、いつ合意に漕ぎ着けられるのか見通しさえ立たないのだ。
日本政府はもちろん、東京市場も失意に見舞われたわけだが、このG7サミット直前に起きたのが、イスラエルによるイランへの爆撃だった。まだロシアとウクライナの軍事紛争が収束のメドも立たないというのに、新たな武力衝突が生じたのだ。世界は平和になるどころか、戦乱の時代に逆戻りしてしまうのではないか。こんな懸念を抱かせる状況になってしまっている。
これでは株式市場は上がらず、投資もしにくい。こんな思いに駆られてしまう。しかし、私は冒頭で「意外な展開になっている」と述べた。それは、東京市場がほとんど下がらない――これになる。通常、株式市場は混乱や騒乱を嫌う。いまはそれらに取り巻かれているにもかかわらず、日経平均株価もTOPIXも高値で保ち合っている。いや、厳密に見るなら、わずかに上昇し続けているのだ。
●好感度アップの3点セットが市場を支える
なにか特別な好材料でもあるなら、こうなるのも不思議ではない。しかし、そんな材料はないのだ。敢えてそれらしいものを探すとしたら、ドル・円が円安方向に動いている点だ。確かに東京市場にとって円安は買い材料ではある。それでも世界が混乱状態にあることを考えると、東京市場は強すぎる。こう言ってよいだろう。なぜ、こんな展開になっているのだろうか? 考えられる理由は以下の3つだ。
(1)先月出揃った3月期決算企業の今期業績予想が総じて好調な企業が多かった。
(2)自社株買いを予告した企業が多かった。
(3)増配を予告した企業も多かった。
こんなことになっているからになる。「好業績×自社株買い実施×増配」。これはわれわれ投資家から見ると、好感度が上がる3点セット。当然、それは外国人投資家の投資意欲をも刺激するので、目下彼らも買いを継続中だ。そこでここでの投資は、不透明、不安定、不連続の時代に負けることなく高値を更新し続けている銘柄に敢えて着目だ。
そこで、まずは味の素 <2802> [東証P]だ。うま味調味料「味の素」で知られるが、他にもレトルト食品やマヨネーズ、スープ、さらにはコーヒーなども扱っている。そして、電子材料も。業績も好調で、今期は11月末までに5000万株、1000億円を上限とする自社株買いを実施予定だ。配当は前期の40円から今期は48円へ増配を見込んでいる。
三菱HCキャピタル <8593> [東証P]も地味な値動きながら高値をキープし続け、週末は新値に進んだ。航空機やコンテナの大型リースに強く、不動産事業も展開している。いまのところ自社株買いの発表はないが、配当は前期の40円から今期は45円へ増配を見込んでいる。
空調工事大手で、自動車塗装設備工事では国内首位の大氣社 <1979> [東証P]。半導体関連施設の空調にも強いだけに、収益も着実に伸びている。12月末までに290万株、50億円を上限とする自社株買いを実施する。配当は前期の72円から今期は94円へ増配を予定しており、魅力的だ。
線路の維持補修で首位であり、JR東日本 <9020> [東証P]と関係が緊密な東鉄工業 <1835> [東証P]も、市場人気は薄いものの、株価は緩やかな上昇が続く。JR関連の安定受注があるだけに、今後も株高の継続が見込める。配当も前期の135円から今期は140円と5円の増配を見込んでいる。
最後に、円谷フィールズホールディングス <2767> [東証P]を。パチンコ機械の大手だが、円谷という社名で分かるように、「ウルトラマン」の制作で知られる円谷プロダクションを傘下に擁しており、「ウルトラマン カードゲーム」が人気爆発中だ。会社側では今期配当は前期比変わらずの50円を見込むが、直近3期は配当を期初計画から引き上げている。業績順調なので、今期は55円配当を期待できるのではないか(ただ確定的ではない)。
2025年6月20日 記
株探ニュース